90 / 1012

緊張感の理由

「ーーーッ!!!」 激痛に声も出ない。 そしてボロボロと涙が勝手に流れる。 逃げを打つ祐羽の腰を掴まえて、九条が中を探る。 「腹の中のモン出すだけだ」 「ううっ、痛いぃ~っ、止めてぇっ」 情けない声を出すと、九条がシャワーを掛けながら中をかき出していく。 あまりの痛みを経験し、それを通り越した祐羽はグッタリと身を任せた。 もう泣くしかなかった。 蕾の痛みは入り口だけで、内壁を暴かれるのは不思議と痛くは無かった。 とにかくシャワーのお湯が染みるのだけが、耐えられなかった。 そんな拷問に等しい時間も五分程すると終わりを告げた。 疲労困憊の祐羽だったが、耐えられなくなりモゾモゾと動いた。 「も、もう…いい、です…」 痛みのある体に鞭打って動くと、九条の支えてくれている腕に手を掛けた。 「後は自分で…」 肩越しに振り返りそう訴えると、九条はゆっくり祐羽を床へと降ろすと立ち上がった。 それから黙ったまま浴室を出て行った。 その後ろ姿を見送った祐羽は、ホッと息を吐いた。 おかしな緊張感から解き放たれる。 この緊張感は、九条がヤクザだからではない。 昨夜の犯された怖さが先に立っていて、またされたらアソコが痛いという事が大きな要因となっていた。 そして、無理矢理犯した相手にこれ以上体を洗われたくはない。 蕾は、自分の中を触ったりしたら痛いし、どうやったらいいか分からない上に怖くて出来ない。 だから我慢したが。 祐羽はのろのろと体を動かすと、痛みを堪えて頭から洗っていった。

ともだちにシェアしよう!