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勇気

全て洗い終えるまで、いつもより断然時間が掛かってしまった。 「痛ッ!うっ、痛い…もうやだ…」 歩けばかなりの痛みがあるが、なるべく歩幅を小さくしてゆっくりゆっくりと歩く。 浴室を出ると用意されていたタオルで頭と体を拭いていくが、足を拭くのは至難の技であった。 とにかく響くのだ。 ここでもメソメソ泣きながら、どうにかこうにか拭き終えると髪も乾かした。 「やっぱりパンツ…無い。当たり前か」 どこを探しても当然着るものが見つからないので、仕方なく新しく用意されていたバスローブだけ着ることにする。 やっぱり大きくて、例えるならまるで小学生がランドセルに背負われている様な形になる。 着替えたは、いい。 けれど、これからどうしたらいいのだろうか。 まさか寝室には戻りたくないし、脱衣場に居座っているわけにもいかず…。 勇気を持って祐羽はドアを開けるとキョロキョロと外の様子を見る。 九条はリビングだろうか? 確かこっちだったはず。 祐羽は廊下へと足を踏み出した。 ヒタッヒタッと腰と尻になるべく響かない様、慎重に歩いて行く。 おじいさんよりも遅いスピードで、のろのろ進む。 少しでも歩幅が開くと、アソコがピリリと痛くて顔をしかめる羽目になるのでミクロな歩みになる。 家というより造りは高級ホテルの様で、非日常を感じる中をリビングへと向かった。 ドアは開かれていて、いかにも入って来いと言わんばかりだ。 入るしかない。 入り口で立ち止まると、祐羽は小さく深呼吸を二度繰り返した。 「…ゴクッ」 唾を呑む。 そして迷いながらもリビングへと入った。

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