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設定
どうして挨拶なのか。
祐羽は意味が分からなくて、中瀬をまじまじと見てしまう。
「あ~、前も今回もお前は先輩の家に居たことになってるだろぉ?」
そういえば前回、病院に1泊入院した時も中瀬が先輩の振りをして電話連絡してくれていたことを思い出す。
「さすがに二回目もお前が電話せずにとなると、怪しまれるからなぁ~ってワケで、俺も挨拶に行く」
「は、はぁ…」
祐羽は曖昧に返事をする。
「お前と俺は学校の先輩と後輩~。そうだな…。同じ部活はヤバイから、部活の先輩の友達で~。気が合うってその辺はテキトーに。名前は中瀬な。一応、お前の親に訊かれたからそう答えといた。覚えとけよ~!」
「わ、分かりました」
そこまで設定しているのか、と感心してしまう。
「今回は俺の母親がオレンジ味のチューハイをジュースと間違って出して、お前が酔って寝た事にしてるから~。で、挨拶がてら謝る形にしてる」
確かにそんな設定だと、謝って貰う方が助かるだろう。
昨日の今日で、精神的にもクタクタな所へと色々と詮索されると、倒れてしまう。
もしかしたら、つい無理矢理抱かれてしまった事を話するとも限らなかったからだ。
誰かに話をすれば少しは心が軽くなるだろうか?
けれど、こんな話は誰にも出来ない。
そして誰も信じてくれないだろうと、祐羽は思った。
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