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ふたりのヤクザ
何処にでもある普通の一軒家。
周囲に次々と新築やリフォーム住宅が増える中で、どう見ても年季が入っていた。
それもそのはずで、祐羽が二歳の時に建て売りを購入したらしい。
祐羽と共に年月を重ねた家は、少し古い印象があるが、今のところボロも出ておらず、地震にも強いのでいい家を購入したと言えるだろう。
「あ、どうぞ…」
祐羽が遠慮がちに促すと、後から着いて来た二人が庭先へ足を踏み入れた。
「どもども~って、堺さん、じゃなくてオヤジ!挨拶頼んだからな!!」
「任せろってんだ!つーかお前、調子に乗りすぎだ」
「ニヘッ」
堺に小突かれて中瀬が楽しそうに笑った。
この二人、歳は離れているが仲が良さそうだ。
祐羽は緊張感無くじゃれ合うふたりを見つめる。
さっきまでと違う。
堺といった男もこうして見ると、怖くない。
笑顔がとても明るい中瀬と堺に、これからの挨拶を任せても大丈夫だろうという思いが生まれた。
ヤクザなのに怖くないなんて、なんでだろうか…。
「ん~コレなんて言うんだろ?綺麗な花!」
中瀬が桃色に咲く花を見て興味深そうに言った。
祐羽の家は特別洒落た物は無いが、そのかわりに母親がガーデニングを少しやっているので玄関までの短い道程は華やかだ。
「あのっ、…開けてもいいですか?」
祐羽の言葉に、ふたりはビジッと表情を改めた。
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