「た、だいまー…」 玄関をそっと開けて様子を伺うように声を掛けると、中から両親が勢いよく出てきた。 「祐羽！！！」 特に父の亮介は出てきた勢いもそのままに、祐羽を抱き締めると「祐羽～～～！！」と生き別れた息子と十何年振りの再会の様な有り様だ。 「ゆうくん、おかえりなさ～い」 後ろから呑気に声を掛けてくる母・香織に「ただいま」と祐羽は顔を綻ばせた。 「…ところで、ゆうくん。この方達は？」 玄関の入り口へ目をやって、ペコリと軽く頭を下げた香織がコソッと訊いてきて、そこで中瀬達の事を思い出した。 「あっ、そのっ僕が昨日お世話になった先輩なんだ…っ！」 「はじめまして。月ヶ瀬くんとは学校の友人を通して知り合って仲良くさせて貰っています。中瀬っていいます」 すかさず中瀬が挨拶がてら軽く説明をする。 その姿に、本当に前から仲良くしている先輩なのではないかという思いになる。 中瀬の演技力には脱帽するしかない。