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見送り
到底見送る元気も気持ちも湧かず、祐羽はその場でふたりが出ていくのを見ていた。
早く帰ってほしい。
この嘘をついて作り上げた矛盾に満ちた空間から逃げ出したかった。
「あ、これ。渡すの忘れるところだった」
そう言って中瀬が差し出したのは、祐羽のバッグだ。
持たせたままだったことを思い出す。
仕方なく少し近づくと、ソッとバッグを受け取った。
すると中瀬がニッと笑う。
「スマホも中にちゃんと入れてるから。あと、頼まれてお前の為に買ったヤツも。あとで確認して」
「えっ?それって、」
頼まれて買ったもの?
誰に?
祐羽の疑問に答える事はなく、中瀬は堺と連れだって帰っていった。
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