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薬と着信
暫くぼんやりとしてから時間が気になり、時計になんとなく目を向ける。
もう17時をまわっていた。
頭は混乱したままで喉は掠れたままだし、節々の痛みは残っていて動きたくない。
けれど昼食も抜いてこのまま寝たままでいると、両親に心配をかけてしまう。
これ以上の心配はかけたくない。
立ち上がった祐羽は、そこで鞄の存在を思い出した。
返してもらったスマホ。
知らない間に連絡が入っていたりしないか確認しようと、鞄を開けた。
「…あれ?」
鞄の一番上に紙袋がポンと置いてあった。
「…何だろ?」
見覚えのない紙袋を恐る恐る開けて中を見ると、そこには薬の箱。
書かれた文字を見ると、どうやら軟膏らしい。
買った覚えなど一切ない。
どうして自分の中にあるのだろうか。
そこで紙袋の下にスマホを見つける。
祐羽はスマホを手にすると、ロック画面を開いた。
両親からの着信やメッセージアプリの通知の他に、見覚えの無いメッセージが入れられていた。
『中瀬先輩』
ドクンッと心臓が大きく弾んだ。
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