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繋がり
見覚えの無いと思った名前に、覚えがある。
今朝方、玄関で別れた相手だ。
仮の祐羽の先輩として、両親に会った人間。
そして本当の中瀬は、九条の部下でヤクザの一員だ。
もう関係の無いと思った相手から、まさかの連絡が入っていて祐羽の心臓が恐ろしいほどに鼓動を繰り返す。
落ち着けようと大きく呼吸をしてから、少しして祐羽はトーク画面を開いた。
「…」
メッセージの内容は軟膏は中瀬が用意した物で、痛みのある患部に使用する様にということ。
そして、もうひとつ。
「え。何、それ…」
読んでから、改めて内容を確認しようと読み直す。
脳が追いつかない。
理解を拒否しているというのが、正しいのかもしれなかった。
【連絡したら必ず返信をすること】
終わったはずの関係が断ち切られていない事実に、祐羽は愕然とした。
普通の高校生で、お金を持っているわけでも、彼らの秘密を握っているわけでもない。
たまたま出会って、それから…。
体を無理矢理拓かれただけでなく、これ以上の何を自分に求めているのか?
「嘘だよね…」
そう思って画面を閉じて、目を閉じた。
これは嘘。
自分が見たのは幻覚だ。
嫌な事が起きた後だから、脳が誤反応をしておるだけに違いない。
そう自分に言い聞かせた祐羽は、フラフラと部屋を出て両親の居るリビングへと降りて行った。
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