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沈黙は続くよいつまでも
昼過ぎに学校を出てからだから、二時間近く経とうとしていることになる。
学校の外で中瀬と押し問答をして、それから車に乗せられて移動した時間も含めてと考えると、ここでは小一時間。
それでも十分長い時間居る様に思えるのは、特にやることもなくジュースをひたすらちびちびと飲んでいただけだからだ。
一体どういうつもりで九条が自分をここへ呼び寄せたのかは、未だに分からない。
特に何かを言われたり、要求されている訳でもない。
そして何よりも辛いのは、この沈黙だ。
これで会話でもあれば少しは違うのだが、九条は忙しそうに仕事をしている。
それも黙々とこなしているので、祐羽に時々視線を投げる意外は無い。
まさか自分から話題を振る訳にもいかず、この沈黙はいつまでも続きそうだ。
このまま座っているのもなんだし、九条から提案されたのだから…という事で、祐羽は空になったコップを片手に立ち上がった。
それから静かにキッチンへと向かった。
「ジュース貰おう…」
冷蔵庫に手を掛けたものの我が家ではない。
このまま開けるのも憚られた祐羽は、九条の様子を伺った。
仕事を邪魔するのもいけないかと思いつつも礼儀として、祐羽は小さく声を掛けた。
「あ、あの…っ!」
静かな室内でそれは十分九条の耳へと届いた様だ。
九条がこちらへ顔を向けた。
なんだ?と言いたげに眉が少し動く。
それだけで迫力だ。
祐羽は少し口をパクパクさせて、それから音を出した。
「ジュース…とパン…頂きます」
すると、九条はフウッと息を吐いた。
「いいと言った。勝手に好きなだけ食え」
「は、い…。ありがとう、ございます」
自然と頭を下げた祐羽が顔を向けると、九条は既に視線を向こうへとやっていた。
スマホを取り出しているのを見て、どうやらこれから電話だと分かる。
祐羽はそのまま冷蔵庫からジュースを取り出した。
「やっぱり同じジュースだ」
トプトプ入れて再び冷蔵庫にしまう。
それから袋を手にすると、前回も座った椅子に腰かけて呑気にも内心ワクワクしながらをパンを取り出した。
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