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息苦しい時間の中で

これ以上何を言っても九条は受け入れてくれないだろう。 それに拗らせてもっと無茶苦茶な提案をされては、それこそ困る。 祐羽はコクリと頷いた。 「…分かりました。なるべくそうし、」 「なるべくじゃない絶対だ。決定事項だと頭に叩き込んどけ。いいな?」 「う…っ」 息を詰めた祐羽に、九条が追い討ちをかける。 「返事をしろ」 「……はい」 渋々とはいえ承諾した祐羽に、九条は満足そうに口元を緩めた。 「今夜は8時には自宅へ戻してやる。それまでここでのんびり過ごせ」 家に帰してくれるらしいが、その時間までまだ四時間近くある。 目眩が起きそうだ。 九条はのんびり過ごせというが、このいつ何が起きるか分からない場所でそんな過ごし方、誰が出来るというのか。 九条が少しは優しい人だと思った事もあったが、時折さっきの様な怖い顔や声を出されれば、安心して過ごすなど不可能だった。 戸惑いと困惑や知らず知らずに強張る表情の祐羽に、九条が声を掛けてきた。 「何だその顔は…。納得いってない顔だな」 それはそうだ。 一方的に何もかも決められてしまっているのだから。 それをはいそうですか、分かりましたなんて素直に直ぐ様返事できるほど能天気ではない。 とはいえ九条の顔を見れば、やっぱり頷くしか道はなさそうだった。

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