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火照る顔
これ、キス、されちゃう…?!
九条の整った顔が迫り、斜めに傾けられた。
「…っ!!」
祐羽は耐えられず、目をギュッと閉じた。
チュッ
「…?」
小さな音と共に軽いキスをされた。
けれどそれは唇ではなく目蓋の上で、覚悟していた分拍子抜けする。
恐る恐る目を開くと、やっぱり九条のどアップを見る羽目になり祐羽は顔を一気に赤くした。
黒くて深い闇色の瞳がジッと祐羽を見ているかと思うと再びキスの体勢に入った。
「…ゃぁっ!!?」
今度こそキスされると思っていた祐羽は、まさかの目の縁を舐められるという行為に思い切り変な声を上げた。
な、舐められた?!
信じられない事に、九条に涙を舐め取られたのだ。
顔を舐められるという行為に、初めて体を奪われた時の事を思い出してしまう。
祐羽はアホみたいに口を開けて九条を見た。
その九条はというと、肉食獣が食事を終えたかの様な余裕をもって、ペロリと自分の唇を舐めた。
赤い舌が艶かしい。
その様子に思わず舐められた辺りに自分の手を押し当てた祐羽は、信じられない思いで九条を見つめたまま瞬きを繰り返す。
そんな祐羽を九条はジッとただただ見つめるだけだ。
逸らされる事なく一心に見つめられカァッと羞恥に顔が火照る。
すると九条は、祐羽の頬に添えていた手を動かし首筋を辿ると、うなじをからかう様に数回撫でてから離した。
「ひぅっ?!」
うなじを撫でられてゾクゾクとした感覚が沸き起こり、祐羽は思わずピクリと反応を示してしまう。
キュッと思わず目を閉じる祐羽のその様子に、九条は満足そうに唇の端だけを器用に少しだけ上げた。
「お前はこのままテレビ観てろ」
そう言うと、九条はソファから立ち上がった。
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