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第200話 うっかりミス

まさか向こうから掛かってくるとは夢にも思わなかった祐羽は、振動を続けるスマホを見つめ続けた。 一体どうして連絡が…?! 何の用件だろうか。 電話してまで話したい内容に、全く思い当たる節はない。 「うぅ…どうしよぅ」 困り果てて口をキュムッと閉じる。 そんな祐羽に(このまま気づかない振りをしたらいいんじゃないの?)という悪魔の囁きが聴こえてきた。 そうだ。 盗撮されているわけでもないのだから、気づかなかった事にしておけばいい。 そして次回九条に呼び出される迄に、今度こそ対応策を考えればいいのだ。 そう思っている間に着信音が止まる。 「よ、よかった~諦めてくれて」 静かになったスマホにホッとした。 通話で話をするなんて無理だ。 対面でさえ話出来ないのだから、表情が見えない九条との会話は想像すら出来ない。 顔色を伺う事は九条との関係を持っている以上は大切な事だった。 これを乗りきったからといって九条との関係が終わる訳ではないのだから、ここからが頭の使いどころだ。 しかも電話に出なかった事に怒りをぶつけてくる可能性がある。 「…どうしよう殴られたりしたら」 とはいえ祐羽にはそこまでの頭の回転はないので、悩ましい限りだった。 「うぅぅ~ん、何かいい方法とかないかなぁ…ん~」 ちょっと悩んだ挙げ句、ネットの力を借りる事にする。 ヤクザ、 関係 、切る これで検索してみる事にして、祐羽は虫めがねマークをタップしようとしたその時だった。 またしても着信が来たのは。 ブーブーブー 「あっ、えっ?!」 突然画面に写し出された受話器マークと再び表示された【九条】の文字。 まさかの二度目の連絡に慌てプチパニックに陥った祐羽は「むむむ無理!!」と叫びながら切ろうとした。 『…おい』 「…え?」 けれど条件反射でうっかり通話を押してしまっていた。 画面には通話中の文字。 「!!!!」 あぁ~僕のバカぁ~、うぅっ…。 祐羽は自分の情けなさにヘロヘロと項垂れた。

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