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第208話 心ここにあらず
そんなこんなで過ごした午前中。
案の定ただでさえ勉強が苦手な祐羽は、益々理解出来ない事に陥ってしまった。
けれど頭の中は別の事でいっぱいだった為、幸運な事にそれには気づかないで、昼を迎えていた。
「月ヶ瀬、昼飯食おうぜ」
友人の小野が祐羽の前の席に座りながら声を掛けてくる。
祐羽が頷くともうひとりの友人・賀川が近くの席から勝手に椅子を引っ張り寄せてきた。
「腹へったな」
「あ、うん」
返事をしながら、さっそく鞄から弁当箱を出すのと同時にスマホも出す。
今の祐羽は弁当よりもスマホが気になって仕方がない。
もしかして、何か連絡が入っているかも…とソワソワとする。
今直ぐ見ようとしたが、ふたりが祐羽の準備を待っていたので確認を後にしてひとまず「いただきます」をした。
ひと口食べた祐羽は、ドキドキ高鳴る鼓動を聴きながらさっそくスマホのロックを解除する。
う~緊張するよぉ…。
何か連絡入っているかな?
期待と不安の中、祐羽はスマホの通知を確認した。
「…無い」
九条からの連絡は無く、思いきりガッカリと肩を落とす。
あまりの落胆振りに、賀川と小野も「どうした」「大丈夫か?」と心配してくれる。
それに心配ないと答えた祐羽は、気力を無くしたまま他の通知に目を向ける。
するとそこに中瀬からの物を見つけた。
「…!!」
慌てて開く。
中瀬からの連絡など、九条に関連した事以外で来ないのだから。
声にならない嬉しさに思わず破顔する。
メッセージを開いてみると、祐羽の願っていた通りの内容が書かれていた。
【部活終わったら連絡して。迎えに行く。先日と同じ場所で待つ】
最後に可愛いうさぎがこちらに向かって指差しながらウィンクしている【返信まってる】というスタンプが添えられていた。
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