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第211話 相手は誰だ

部活が終わり着替えをする頃には、祐羽のソワソワは頂点に達していた。 先輩達を待って、居残りがいない様に全員で出る。 九条の権力と思われる圧力により、部活動の終了時間を定められた為だ。 それは他の部活も同様で、多少の時間差はあるものの引き上げる姿がそこかしこで見られた。 全員で校門を目指して歩き始めると、祐羽はさっそくスマホを取り出した。 中瀬に部活が終わり帰る事を知らせる為だ。 【今、終わりました。これから帰ります】 すると直ぐ様返信が届く。 あまりの早さに驚きつつ内容を確認した。 【分かった。この前の所で待ってるから直ぐに来い】 きっと部活の終わる時間を九条辺りから聞いたか、早い時間から来て待ってくれていたという事だろうか。 いつから待ってくれてたのかな? なんか申し訳ないなぁ…。 そうこう思いながらスマホ画面を見つめていると、隣に居た田中が顔をニュッと伸ばして来た。 「さっきからコソコソして、もしかして彼女でも出来たとか?」 その発言に周りに居た部員が驚きに絶叫する。 「ええええーっ!!彼女?!嘘だろ月ヶ瀬!!?」 「まさかの月ヶ瀬に彼女とか、やめてくれぇ~!!」 「どんな女だよ!?俺たちの月ヶ瀬を汚したヤツは~!!!」 まさかの大騒ぎに祐羽は、慌てて訂正する。 「ちょ、まっ、待ってください!!違います、違いますってば!!田中先輩の勘違いなんですー!!!」 叫んだ祐羽に、皆が勘違い?と視線を向けてくる。 あまりの視線集中に、祐羽は恥ずかしさに赤くなった。 「そうですよ。いなくてもいいじゃないですか!」 祐羽はジトッとした目で不貞腐れた。

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