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第213話 怖いけど怖くない?

「第一に、僕に彼女なんて出来るわけないじゃないですか。クラスの女子ともあんまり話すことないのに…」 そう言いながら祐羽は少し悲しくなる。 それは本当の事で、特定の女子に若干敬遠されている。 理由は祐羽が、わざと媚を売っているという認識を持たれてしまったからだった。 クラスメイトや友人が、どんくさい祐羽を見かねて助けてくれる事が多い為に、どうしても目立ってしまっていた。 男のくせに頼りなく大人しい印象が、彼女たちをイライラさせる様だった。 最近は気の強い一部の女子から睨まれたり、強く当たられたりもするのだ。 そのせいで少し女子に苦手意識というか、身構えてしまうようになってしまった。 大人しかったり、真面目、優しい女子にはちょっと緊張はするが一応それなりに普通に話しは出来る。 けれど、 気の強い女子や派手な子を前にすると言葉がすんなり出ない事がある。 それが彼女達をイラつかせるし、そこに助け船を男子が出すので余計に泥沼化してしまっていた。 何とか普通に接したいとは思うのだが、なかなか簡単にはいかないでいた。 なので女子に若干の苦手意識を持っている今の自分に、彼女が出来るなんて事はあり得なかった。 元々恋愛事にそこまで興味を持っていなかったが、今の自分には益々そんな気持ちは湧かないでいた。 彼女なんて想像すら出来ない。 それに、僕は今… 自然に九条の顔が頭に浮かんだ。 怖いけど女子に睨まれる怖さとは違う。 何が違うのか…九条の怖さとは何だろうか? そんな風に思いつつも彼に会いたいと思っている自分の考えに疑問が沸き起こる。 きっと今日会えば分かる、はず。 そう思うと益々気持ちが高まるのだった。

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