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第232話 ヤクザ認定
学校へ着いて授業を受けていてもやっぱり九条の事が頭から離れない。
ぼんやりと黒板の文字を眺めるばかりだ。
昨夜の夢の様な豪華な店でのディナーも凄かったが、一番はやはり抱っこされていた事実だ。
恥ずかしくて思い出しても悶絶したくなる。
お陰で百面相してばかりで一切授業は聞けていない。
知らない間に母にも会っていたなんて、一体九条かどういう顔をしていたのかが気になる。
まさか笑顔だったとか?
そんな顔は全く想像出来ないが、頬笑むくらいはしたのだろうか?
香織を容易く籠絡したのだから、それくらいはやっていそうだ。
そんなこんなで一時間目が終わると、同じ学年のバスケ部員が詰めかけてきた。
「あれっ、どうしたの?」
部活でもないのにやって来るのは珍しい。
「あ~良かった!無事だったな」
「え?」
「昨日のヤクザだよ。一緒に帰ったから心配でさ~」
そういえば、昨夜は知り合いだと言って慌てて車に乗って大した説明もなく帰ったので、どうやら心配してくれていたらしい。
しかし、完璧にヤクザ扱いされている。
九条さんすっかりヤクザ扱いされてるよ。
間違いじゃないと思うけど正しくもない…いや、やっぱりどう見てもヤクザか~。
思わず笑いそうになってしまった。
「え、ヤクザ!?月ヶ瀬それ大丈夫なのか?!」
クラスの友人も心配してくれる。
ヤクザの連呼に内心苦笑いする。
「うん。ヤクザじゃないよ、本当に大丈夫だから」
祐羽が安心させる様に笑って見せると、皆一様に安心した顔を見せた。
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