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第235話 機嫌を左右する存在

先日まで仕事も落ち着いており、順調でいうこともなし。 そして社長である九条の機嫌も雰囲気から良好な事が伺えた。 その理由というのが、例の月ヶ瀬祐羽という高校生の存在だ。 どういう訳でそうなったのかは九条ではないので分からない。 何故か保護をして家に連れて帰り、まさかの性行為に及んでいたのには正直驚いていた。 九条はモテる。 とにかくモテる男で、ご覧の通り顔もよければスタイルも良いし頭も良い。 それから肩書きもあるし、実家もヤクザな稼業ではあるが金を持っている。 そんな九条に靡かない女はほぼおらず、結果寝ても満足どころか益々(かつ)えてしまう程だ。 それはノンケの男でも喜んで身を差し出す可能性も高いのは、社内の男性社員の様子からもよく分かる。 憧れと紙一重の位置に居り、役職により側で働いている若い男は下手すると自分の性癖を歪めかねない。 それだけのカリスマ性を持っていた。 そんな性的にも恋愛相手にも困らない男が、まさか高校生にうつつを抜かすとは…九条の秘書である眞山は未だに半信半疑であった。 けれど、実際に家族と極僅かな特定の数人以外誰も入れたことのない自宅へただの一般人を招くとは…。 何故、彼だけ特別扱いなのかは謎だが、九条の機嫌を左右する存在になっている事が、この1週間ほどで理解出来た。 祐羽と会うと決まった日や翌日などは、すこぶる上機嫌で、表情や態度はいつもと変わらないが、仕事のキレや放つオーラというのだろうか…それがいつも以上なので、他人は感じなくとも眞山からすると分かり易かった。 「社長、こちらの書類の確認をお願いします」 「ん」 しかし、その穏やかだった空気は一変。 社長室のデスクで仕事をこなす九条の機嫌は、眞山も下手に口出し出来ない程にこの数日で最悪になっていた。

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