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第240話 念を込めたら
「ど、どうしよう~?!」
とうとう連絡しちゃったよ…。
帰宅した祐羽は食事を済ませ自室へと籠ると、勇気を振り絞って九条へと水族館へのお誘いメッセージを送っていた。
そして今、ベッドの上でスマホ片手に壊れた玩具の様にゴロゴロ何度も左右に転がっていた。
どうもメッセージを送った緊張よりも九条を誘ったという気恥ずかしさが先に立って、こうして悶えなければやっていられなかったのだ。
それに加えて不安が大きい。
九条にメッセージを送ったのはいいが、果たしてどう思われるか。
「うーん、変じゃないよね?自然な感じに書けたと思うんだけど…」
送ってしまったのだから今更どうにもならないのだが、やはり気になってメッセージ画面の文章を再度確認する。
【こんばんは。お仕事お疲れ様です。
明日の16時からある水族館のナイトパスを
先輩から頂きました。
お忙しいとは思うのですが、もしよろしければ一緒に行きませんか?
お返事お待ちしています】
何度も文章を確認しおかしな所は直して送ったけれど、九条からの返信がないとどうしても不安しかない。
自分で気づかない失礼な事を書いていて怒らせたらどうしようというよりも、不快にさせて断られたら…そう思うと耐えられない。
そして、こんな風に誰かを誘うのは人生で初めての事だ。
胸がモヤモヤしてオマケに心臓も痛い。
さっきから溜め息ばかり出てしまうし、何もする気が起きない。
堪らなくなって近くのぬいぐるみを抱いてみるが誤魔化すことも出来ず。
「はぁっ…。落ち着かない」
世の中の片想いの人は、こんな勇気の要る思いで誘ったりしてるの?僕にはハードルが高すぎる…って、
片想い?
いやいや違う!!
そうじゃないし僕は別に九条さんのこと…っ、例えだから!
「そう例えば~って事で、別に…。そもそも相手は男の人だよ?その考えはおかしいんだよ」
なんでそんな風に考えちゃったんだろ?
この前から九条さんのこと考えると頭がぐるぐるするし胸もモヤモヤするし、何なのこれ…気力を全部使い切っちゃう感じがする。
「はぁっ…、これで九条さんに断られたら…。いやその前に返事が来なかったらどうしよう…はぁっ…」
そう言って、ついマイナスに思考が流れていき最悪な展開が想像を掻き立てる。
自分で思いながら益々落ち込みかける。
いやいや。九条さんなら返事くれるはず!
あとは一緒に行ってくれる事を祈ろうと、スマホの静かな画面を見つめ(返事が来ます様に~)と強く念を込めた。
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