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第241話 高鳴る期待に

祈るしか今の自分に出来ることはない。 とにかく必死で祈った。 「…まだ来てない」 けれど返事は来ず…。 仕方ないので風呂に入り、あとはもう寝るだけとパジャマを着てベッドにインしていた。 「はぁっ…。九条さん何してるんだろう。仕事忙しいのかな?そうだよね…」 学生の自分と比べれば、社長の九条は想像もつかないほどの忙しさなのだろう。 「もう寝ちゃおうかな…。明日の朝まで待ってダメなら諦めよ…」 マイナス思考が働いて、いつもより随分早いが夢の中への逃避行を考え始めた矢先、面白いほどのタイミングで着信が入った。 「うわっ?ビックリした~!…あっ、九条さんからだ!!」 祐羽は勢いよく起き上がると、ベッドの上に正座した。 メッセージが届いた感動で高揚する気分と、もしかしたらダメかもしれない、という恐ろしい程のドキドキ感に心臓の鼓動を支配されながら指先で画面を開いた。 するとそこには、簡潔な文が並んでいた。 「九条さん、ちゃんと返事くれたぁ~」 祐羽はその内容に、安堵と嬉しさと感動から頬が紅潮するのが分かった。 なんだか目もウルッとしてしまう。 「良かった…良かったよ~!」 思わず声を上げて喜んで嬉しさから、その勢いでベッドに再び寝転がった。 「はぁ~っ…良かったぁ」 さっきまで感じていた不安やマイナスの心は何処か遠くへと去っていき、今は嬉しさという名の興奮が全身を支配していた。 祐羽は落ち着くと瞬きを数回繰り返し、画面を見つめる。 嬉しくて文章をもう1度読み直した。 【何処で何時からか連絡しろ】 何の味気もないぶっきらぼうな文章。 九条らしいといえば、九条らしくて思わずクスッと笑ってしまった。 簡潔なそれも偉そうな文面だったが、九条からの返事というだけで祐羽にとっては充分だった。 もしかしたら、わざわざ水族館へ行く時間を開けてくれたのかもしれない。 これはあくまでも自分の想像に過ぎないが、そう思うと申し訳ないよりも嬉しさに心が温かくなっていった。 ※Twitterフォロワー様限定・バレンタイン編プレゼントについてのお知らせを始めました。詳しくは当方Twitterの固定ツイートをご覧ください。

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