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第240話 今日の予定は

昨夜は遠足前の子どもの様にワクワクしてしまい、布団に入ったのは早くとも結局いつもの時間に寝てしまった。 朝も起きてからソワソワが止まらなくて、出かける前に「今日は遅くなるから」と九条と会う事を母に告げて家を出た。 気持ちがルンルンで、不思議と周りの景色も輝いて見える。 例えばデートの日って、きっと皆もこんな気持ちなんだろうなぁ…。って、僕の場合はデートじゃないし!! 「何考えてるんだろ、僕」 初めての事が続きすぎて浮かれてるんだな。 おかしな考えを追い払った祐羽は、恥ずかしさを誤魔化すように、そそくさと校内へと入った。 土曜日でも部活はあるワケで、時間は9:00から16:00なので、学校から電車で二駅のところに水族館はあるので、待ち合わせには余裕がある。 そして今日は、土曜日だが近くの高校で練習試合だ。 取り敢えず一旦、九条の事は忘れて夕方まで部活を頑張るぞ!!と息巻いて部室に顔を出したのだが…。 「おはようございます」 「おっ、月ヶ瀬おはよう」 「って…どうかしたのか月ヶ瀬?」 「え、何がですか?」 部長の宇佐美に言われた意味が分からなくて首を傾げる。 「ん~何かいつもと違う気がするのは気のせいか?」 そこへ副部長の高橋も賛同してくる。 「うん、確かに。顔があからさまに緩んでる…月ヶ瀬もしかして嬉しい事でもあった?」 「えっ?!」 嬉しい事はあったし、これからあるしで間違いではない。 「ええっ?!僕、そんなに分かりやすい顔してますか…?」 まさかそこまで表情に出ているとは思いもよらず、恥ずかしさに顔が赤くなる。 「おいおい、なんだよ~。めちゃくちゃ気になるんだけど…」 宇佐美にジト目で見られる。 「いや、その…。あの、今日の夜水族館に行くんです。それが楽しみで…」 祐羽は忘れると決めていた九条を思い描きながら今日の予定をお披露目した。

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