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第241話 天然には通じません

「水族館?!」 「そうです。昨日、渋谷先輩からナイトパス貰ったんです!あっ、渋谷先輩!チケットありがとうございました」 祐羽は部室の奥で椅子に腰掛けていた渋谷に頭を丁寧に下げた。 「「渋谷~?!」」 祐羽が嬉しそうに報告すると、宇佐美達は顔色を変え渋谷に詰め寄った。 「おいっ、渋谷!!どういう事だ?!」 「やめとけ、月ヶ瀬!!ヤリチン…じゃなくて~渋谷は彼女いるんだぞ?!傷つくのはお前だぞ?!」 「え~っと?」 何の事だか首を傾げる。 しかも渋谷は高橋に首を掴まれ揺さぶられている。 「うぇっ、やめ、苦しい~!!ダアッ!!!」 祐羽が止める前に渋谷が手を振りほどいた。 ギロッと睨む顔はイケメンだけに迫力がある。 「先輩方、心配無用ですよ~」 そこへ出てきたのは2年の田中だ。 渋谷の肩を抱くとニヤッと笑った。 「残念な事に遠回しの誘いは、天然には通じなかったみたいなんで」 そして笑いながら「なっ?」と渋谷へ言っている。 祐羽は話しに、おいてけぼりだ。 「…そうですよ。だから俺は別に抜け駆けてませんから~フンッ」 そう言った投げやりな渋谷には興味を無くした宇佐美達は、さっきまでの殺気を納めて笑顔を浮かべた。

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