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第244話 探す面影
「うわっ、凄い人…。知ってる人が居ても気づかないかも」
あまりの人の多さに圧倒されながら、祐羽は邪魔にならない隅をトコトコと進んだ。
学生服、それも学ランだと目立つのか、擦れ違う人の視線を感じてしまう。
1回家に帰って着替えてくれば良かったかなぁ?
でも待ち合わせに遅れてもいけないし…。
「まぁいいか…。九条さんも仕事終わりに来るから、おあいこだし」
そう思い直し歩き続ける事約10分。
人の多さになかなか前進出来ない上に、熱気と暑さにやられた祐羽は少しダウンした。
大きすぎるショッピングモールと人の多さに少々疲れが出る。
「はぁっ…ちょっと休憩しよ」
通路の片隅にある自動販売機で小さなペットボトルのお茶を買って、ベンチで一服。
時間を確認するが、待ち合わせまでまだ二時間近くある。
そこでスマホで魚の種類を調べたり、もう1度水族館のホームページを見てみたりした。
1通り見終わり時間を確認してみるが、まだ待ち合わせ時間には程遠い。
「あと1時間半か。それにしても九条さんと一緒に水族館楽しみだけど、想像つかないんだよね…。話しも上手くできるかな…」
忘れられた様な場所に設置されたベンチで溜め息をつきながら、今日の事をシミュレーションしてみる。
しかし九条相手だと全く予想もつかなくて、それは早々に諦めた。
多少の不安もあったが、今日こそチャンスだ。
勇気を出して聞きたい事は、聞かなければ!自分の事なのだから。
…話してくれるよね。
話をしないと本当の事は分からないし、九条との関係に戸惑うだけで、この先どうしていったらいいのか分からないままだ。
九条さん、機嫌が良いといいんだけど…。
実際に会った時の流れに任せればいいと決めて、それからは目の前を通りすぎる人を見るともなしに眺めた。
何気に行き交う人達を見ていると、背の高い男の人が目の前を通り一瞬だけドキッとする。
「フフッ、九条さんなわけないのに。僕の脳ミソおかしくなってるのかも…」
それから後も背の高い男性についつい反応してしまうが、その顔は似ても似つかず。
どれだけ九条に会いたいのか…そんな自分にいい加減飽きれる始めた頃、祐羽のスマホにメッセージが入った。
【あと30分で着く】
慌てて見ると、それは九条からだった。
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