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第278話 ちょっと休憩
…なんか僕、子ども扱いされてない?
子どもではあるのだが、まるで幼稚園児の様な扱われ方だ。
いくらドジを犯しても流石にここまでされなくても自分で立てるし、出口だって分かっている。
九条さん、僕のこと何歳だと思ってるんだろ?
幼稚園児じゃないよ?!
ちょっとムッとして振り返ると目の前には胸元。
見上げると(何だ?どうした)と言いたげなどこか穏やかな優しい表情が幽かに見て取れる。
うっ、そんな目で見ないで…。
結局、祐羽は何も言えずに素直に出口へと向かった。
それから客の流れに添って通路を行くと、そこはちょっとしたフードコートとお土産物を扱った売店のフロアになっていた。
既にひと息ついている客で賑わっており、元から少ない席はいっぱいだ。
水族館に入って早一時間以上は経っている。
九条と一緒という緊張とイルカショーで歓声を上げたことで、さすがに喉が乾いてしまった。
九条さんも喉乾いてるよね?
お腹も空いたかな?
…訊いてみよう。
「何か飲むか?」
「え?!」
「それとも腹減ったか?」
自分が訊ねるよりも先に九条に気を使われてしまい焦る。
「あっ、喉は乾きました。お腹はまだ大丈夫ですけど…九条さんは?」
「ああ。…そこに座るか?」
頷いて肯定をした九条が示したのは、土産物のコーナー前の通路にある木製のベンチだった。
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