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第302話 値札の確認、大事。
そうして見つめた九条は物珍しそうに、ぬいぐるみの並んだ棚に目を向けていた。
正直シャープな感じとヤクザというイメージでいくと九条はサメだろう。
そして手に持っているシャチのぬいぐるみは黒目が丸くてモフモフしていてフォルムも丸いし、白黒模様がとても可愛い。
けれど本物のシャチはというと海のギャングと呼ばれるほどに、獰猛だ。
家族の結束は強く、群れで狩りを行う。
とても賢くてその頭脳を駆使して、えげつない狩りを行うのだ。
まさにヤクザそのもの。
動物好きでシャチの生態を知ってはいたが、そこまではさすがに思わず、祐羽は純粋に本物のシャチの見た目と賢さだけで九条と比較していた。
九条さんカッコイイし賢いからシャチっぽいよね…。
「…何だ。それを買うのか?」
なんて思っていたら九条に問い掛けられて慌てて答えた。
「えっ!?あ、いえ…」
まさかシャチと九条を比べていたなどと言えず口ごもると、ぬいぐるみを取り上げられる。
「迷う時は買え。後悔したくないならな」
そしてポイッと乱暴にカゴへと入れてしまった。
あぁっ、入れちゃった!!
大きいし抱き心地はいいけど、値段…幾らだろう…。
抱っこするには大きさ存在感が丁度いいとはいえ中サイズは少し高いはずだ。
財布の中身が不安になってきた祐羽は、棚にある同じぬいぐるみの値札を確認した。
さ、三千九百円?!
無理だ!お菓子のお土産でお金殆ど使う事になるから買えないよ~。
「あのっ、やっぱりぬいぐるみ要らないです…!」
祐羽は心底残念に思いながらも、そう言い慌ててカゴから取り出すと、棚にぬいぐるみを戻した。
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