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第311話 予想外

「付け加えると、お前は普段は犬だが何か困った事があると動きもペンギンだ」 普段も犬って、確かに犬って言われた事はあるけど! でもペンギンって!?まさかペンギン扱いも受けるなんて、どこがペンギン? 実際のペンギンの姿を脳裏に思い出し首を傾げる。 動きも普通だけどな…。 「自覚が無いようだな」 そうして笑う九条は、いつもの小馬鹿にしたかの様な態度でボールペンを袋に戻すと、そのまま内ポケットへとしまった。 「ちょうどいい。ペンギントンネルとかいう物があるそうだぞ」 九条が顎で示した場所には壁に『ペンギントンネル・トンネル水槽』という案内表示があった。 そういえば、まだ見てない場所があったと祐羽は思い出す。 「あの…僕とペンギン、似てないと思いますけど」 「それは見れば分かる」 ちょっと自信満々に言うのが一瞬可愛いとか思ってしまう。 今、ちょっと九条さんが可愛いく見えたの気のせい? 相手は大人の男の人で、ヤクザだよ? きっとこんな場所に長い時間ふたりで居るから、感覚が可笑しくなったんだな、きっと。 「それじゃぁ、トンネル水槽見にに行きましょうか」 「待て」 「!!?」 踵を返すと後ろから手首を掴まれて、驚く前に祐羽は九条の腕の中に居た。 えっ?! な、な、な、何、急に?!九条さん?! 急に抱き込まれて驚き、そして周囲に他の客が居ると思うと、こんな場所で男同士で恥ずかしいと、内心パニックになる。 けれど逆らう事は怖くて出来るはずもなく、祐羽は心と脳で盛大に叫び声をあげた。

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