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第361話

それから暫くして視線を外して隣を見ると、九条が自分を見ていた。 いつから見られていたのか恥ずかしくなり顔を赤くして少し俯いて誤魔化すと、祐羽の頭を九条が撫でる。 それが心地よい。 ついつい、されるがままに祐羽は頭を預けていた。 頭撫でられるの好きかも…。 これからも、たくさん頭撫でて貰えるといいなぁ…。 頭を撫でられる心地よさは異常だ。 「眠いのか?」 「はい、ちょっと…」 瞼を半分にさせて祐羽は頷いた。 「そろそろ帰るか」 そう促され頷いて、祐羽は九条と立ち上がった。 眞山達の待つ車へ向かってふたりで歩く。 星空、夜景、海の音に好きな人の体温。 きっと絶対に忘れない。 祐羽は隣の九条の体温を感じ、心地よいドキドキを楽しみながら歩いた。 戻ると眞山達に出迎えられて、九条とふたり後部座席へと乗り込んだ。 高級車の乗り心地がよすぎる為、再び睡魔に襲われる。 すると、次第に体は九条へと傾き始めた。 今日は色んな事が有りすぎて、祐羽の脳はいつになくフル回転。 おまけに九条との関係にホッと安堵した事も大きな要因だろう。 そんな優しい温もりに包まれている間に、祐羽は本当に幸せの国へと旅立っていた。

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