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第363話
「んんっ?!」
いきなり重ねられた唇に驚く祐羽の唇を啄むと、九条の舌がベロリと舐めた。
その舌は祐羽の唇の隙間に入り込んだかと思うと、上顎の敏感な部分を愛撫した。
「あっ…、」
鼻から抜ける様な声を鳴らし、祐羽から力が抜ける。
直ぐ様祐羽の舌は九条の舌にクチュクチュと音を立てて絡み取られ、音を立てて吸われる頃には祐羽は息も絶え絶えだった。
「はぁはぁっ、…っ、…ふぅ、んんっ」
酸素を求める祐羽に九条は余裕も与えてくれない。
溺れる人間の様に酸素を求めるが、それを許さないかの様に、まるで口を食べられている錯覚を起こさせる。
キス、僕もう無理ィ…!
「ハァッ、あ…、…っ」
祐羽の思考も次第に堕ちていく。
ベロ、口の中ダメぇ…ううっ、ゾクゾクしちゃうんんっ…気持ちいい…
ずっとキスしていたい気持ちになっていく。
自分が初心者で相手が大好きな人だからか、九条のキスは祐羽にキスの気持ちよさを教えていた。
上手く応えることの出来ない祐羽の舌をしつこい位に九条が味わっていく。
もちろん経験が九条しかない祐羽にとって、こんなディープなキスは処理しきれず、口の端から唾液が流れていく。
それを九条がベロリと舐め取ったのと、リビングのソファへ下ろされたのは同時だった。
押し倒される形になるが、祐羽は噛みつく程に求める九条にされるままだ。
キスをほどいた九条が祐羽の額にキスを優しく落とす。
それに祐羽はホッとしつつ酸素を取り入れて、薄い胸を上下に動かした。
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