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第391話 ★

九条は、家族と眞山くらいしか信頼などしていなかった。 そんな信頼している僅かな相手でも、万が一という可能性もある。 この世界に生まれてきたのだから、それは常に考えてはいる。 考えてはいるのだが…。 目をゆっくり開き、広いベッドの端を見つめる。 この横に果たして、誰かが眠る日など来るのだろうか? 「……ないな」 珍しくポツリとひとり呟いた。 優しく誰かに頬笑む自分が今は想像できなくて、九条は今度こそ目を閉じ眠りについた。 それから3年後に訪れる出会いなど、夢にも思わず…。

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