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第432話 番外編『はじめてのひとりエッチ』

祐羽は女の子が欲しかった親の気持ちが反映されていたせいか、父の妨害があったせいか。 男に生まれていたにも関わらず、どこか男の子っぽさが控え目だった。 別に女の子みたいというわけではない。 ただ、ヤンチャという性質を持っていないというだけではあるが。 そんな祐羽は可愛い自慢の息子であった。 願わくばこのままでいて欲しい…というのは親のエゴだろう。 特に父・亮介はそんな気持ちが強いので、中学生に上がってからも、息子の事へは目を光らせていた。 純粋無垢なままでいて欲しい。 男の祐羽に強いて言えば、大和撫子の様な姿を求めていたのだ。 そんな事がいつまでも通用するはずもないのは、同じく男として生まれてきた亮介が分かっているだろうに…。 亮介が一番避けていたのが性的な事だ。 好きな女の子はもちろん、仲の良い男の子にも敏感で。 祐羽に好きな女の子は居なかったが、その話題さえ出さなかった。 それからテレビでもエッチなシーンはご法度だ。 けれど、亮介は気がついていない。 実は小学生の頃、保健の授業で既に男女の構造の違いや子どもの作り方まで、一応は簡単な話ではあったが、学校で習っていた。 自分にもついているアレを女の子の股の間にある所へ入れたら子どもが出来るなんて…。 授業では男女別だったが、終わってから合流すると部屋がソワソワしていたのを思い出す。 そんな事なんて考えてもいなかった男女が、これで一気にエッチを意識する様になったみたいだった。 それから男子が「山田のおっぱいでかいよな」「エロい事してぇ」とかコソコソ話題に上るようになった。 祐羽を囲む友人達は、普段から女の子の人気も高いから余裕みたいで、そんな話はしなかったから助かったが…。 好きな女の子がいないからか、それとも性的な興味が薄いからか。 いまいちピンと来ていない祐羽であった。

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