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佐藤が止めに入るものの間に合わない。 摩波呂が殴り掛かったのを一臣はヒョイッと避けた。 すると見事に空振りを決めた摩波呂は、何もない床へと転がっていった。 それを見ていたクラスメイトは大爆笑。 「くっそう~ッ!!」 余計に怒り狂った摩波呂が再び殴り掛かってきた。 室内に悲鳴が上がったが、一臣が逆に殴り返した。 それによって尻餅をついた摩波呂は、その場で怒りと恥ずかしさと、普段から気にくわなかった一臣からの反撃に感情が混乱。 泣き喚いて近くの椅子を持ち上げた。 が。 投げる前に一臣の足払いで再び転んで、持っていた自分の椅子が頭上に降るという最悪な事態に、大号泣をしたのだった。 やんややんやのクラスメイト。 泣き叫ぶ摩波呂。 隣から駆けつけた同僚。 慌てて摩波呂に近づく佐藤。 そんな中で一臣だけが静かに傍観していた。 ・・・・・ 摩波呂に大きな傷は無かったが、少したんこぶが出来ていた。 怪我をしたので保護者への連絡が必要になる。 摩波呂の母親に連絡を入れて怪我の経緯について伝えると、怒りに声を荒らげていた。 「はい、はいっ。本当に申し訳ありませんでした。そうです、はいっ。止める事が出来ずに、本当にすみませんでした」 電話越しに、頭を何度も何度も下げた。 それでも怒りは収まらず、摩波呂の母親は仕事が終わり夕方迎えに来てから、相手の保護者と話がしたいと申し出た。 そこで一臣の家へと電話をすると、話し合いに応じると返事を貰った。 いつもは組員が送迎している様だが、今日は父親が来るという…。 「しょ、所長~大丈夫でしょうかぁ…?」 涙を滲ませながら訴える佐藤に「わ、私も同席するから、ね?!」と、震える心臓を押さえる所長なのだった。

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