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時給などはどうでもいいのだが、期間と時間も平日は夕方からOKと短く、仕事内容もホールと簡単な盛り付け程度の募集。
「そうだな、連絡してみるか。鳥海、助かった」
「いえいえ、どう致しまして~。って受かってから言えよな。そして、少しは社会の厳しさを学べ」
そうは言ったが、鳥海はこの友人がバイト面接に落ちるとは露ほども思わない。
ただ、どんな感じでバイトをこなすのか…という興味はあった。
九条は何事もそつなく熟すタイプなので基本的に困る事は少なく、おまけに女子や女性教師からも特別に扱われている節がある。
本人にそのつもりはなくとも周りが放っておかないので、順風満帆な学生生活を送っていた。
社会じゃそうはいかねぇしな。
つっても、コイツどうせ家業継ぐなら関係ねぇか。
鳥海はそんな事を思いながら「これやるよ」と情報誌を手渡した。
そして、そんな二人のやり取りを聞いていた周囲の男子は(案外、面接で落ちたりして。それならウケる)(イケメンだけでは渡っていけない…社会はそこまで甘くないんだぞ、九条)(社会の厳しさをアイツに教えて欲しい!バイト先の人、頼みます!)と内心で強く九条のバイト落ちを願い念を送っているのだった。
・・・・・
そんなワケで、一臣は人生初バイトの面接のアポを取ると履歴書を書いたりもした。
そこで自宅住所を書く必要があったが、知ってる人間は知っているが、バイト先は少し離れた市内にあるのできっとヤクザな家とは気づかないだろう。
それに自分はあくまでも高校生であり、父の仕事には一切関知していない。
まぁそんな理由で落とされる事はないだろうが、バレない様にしなければ。
これまた人生初の証明写真なんかも撮って、無表情の写真を貼り付けて完成だ。
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