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くっそ~!! 田中はギンッと隣の九条を睨んだ。 すると九条からすかさずギロッと背筋の凍る程の鋭い視線を受けて、大人しく前を向いた。 気のせいか威勢の良かった客たちも静かになった様な…それにしても…。 怖ぇぇよ!!あいつ目つきヤバイ!! って、俺~チキンすぎだろぉ~クソッ、クソッ、くそ~~~!!! …いや。まて、俺。 相手はちょっと顔のいい程度の高校生。 人生経験は俺の方が上なんだから、何を恐れることがある? 落ち着け、俺。 ヤツは顔が良いだけの小僧だ。 これからきっと色々な荒波に揉まれて苦労していくに決まってるから、広い心で見てやろうじゃないか。 そう田中は自分に言い聞かせて、心の平穏をなんとか取り戻した。 バイト終わり。 田中が交代して先に帰り支度を整える。 いつもは九条が先に帰るが、今日は田中の方が代わりのバイトが早く来てくれたのでスムーズに終われたのだ。 うぇ~い!今日はこの後いいこと起きる予兆だったりしてな~。 思わず鼻唄が出そうになって、おっと…と留まった。 そして裏口を開ける頃に着替えを始めた九条が「お疲れ様です」と心の籠ってない返事をしたのを聞いて「じゃ、お先」と、ドアを潜り抜けた。 可愛げないな~ったく。 アイツ確か有名私立だったよな?…腹立つ。 …ん? バイク通勤の田中は、裏通りの道に大きな黒い高級車が数台連なって停車しているのを見てビクリとした。

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