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今日とは別に明日は組関係者でお披露目会をするらしい。
結婚とか兄弟杯交わすとかでもあるまいし、と反対の声を上げたものの権力とは恐ろしい。
父・英二の纏める組織『旭狼会』の元締めに関東一帯を縄張りにしている日本最大組織のひとつ『篁組』がある。
その組長・篁 善昭(たかむら よしあき)は、祖父同士仲が良かったらしくその頃からの繋がりである。
また英二の兄貴分でもある。
その経緯から懇意にしている上に、娘3人しか居ない善昭夫婦に心底気に入られている一臣は、何かことある毎に呼び出されていた。
今回の『成人お披露目の会』というパーティーも二人の自己満足の会である。
しかし『親』である篁組には逆らえない。
この世界に生まれて世襲をしている『旭狼会』は、いずれ自分が背負う事になるのは重々承知しているしヤクザという家業に対して今更文句はない。
けれど、成人式へ行くよりももっと篁の屋敷に行きたくない理由があるのだ…。
九条は眉間に皺を寄せて、めんどくさそうに溜め息をついた。
「お兄ちゃん、時間大丈夫?」
「あら、本当。急ぎなさい一臣」
そんな時、ソファに座っていた妹・瑠衣(るい)と祖母の栞(しおり)が急かしてきた。
嫌がっていても仕方ないと諦めて、一臣は靴に足を入れると無駄に広い玄関を潜る。
その際に耳元で英二に囁かれる。
「お前の初仕事だ。頑張れよ」
その言葉に正月明けて直ぐの事が甦る。
提案された時は、なぜもっと早く言わなかったのかと英二に殺意を抱いた。
そのせいで、正月早々に忙しく調べ物をする羽目になったのだから。
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