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金尾衆議院議員はこの日、地元の新成人を祝う為に来ていた。 ここでカメラに映り、新成人にも顔を知らせるいい機会だ。 それだけが目的ではない。 そこにはもちろん市長の佐々木も来ており、ここで歓談という名の秘密裏の話をしていた。 ハッキリとは話さなくともお互いが分かっていれば充分伝わる。 なかなか二人きりで会って話すことは難しい。 そこで、こういう機会を使っては密談をしているのだ。 こういう密談を通して互助関係を築き、金尾は組織票を集めここ長年議員バッジを付けていた。 それは市長の佐々木も同様で、市長という椅子に座っていられるのも結託しているからにすぎない。 二人の力だけでは成し遂げられなかったであろう。 それも、裏社会の大きなバックアップあってこそだった。 この大都市では、長いものに巻かれなくては生き残れないのだ。 そんな二人のバッグには『支倉組』がついている。 その世界では、ナンバー4の規模で虎視眈々と上を狙っている組である。 「せ、先生!!」 「何だ、騒々しい。まだ時間まであるだろう?」 そこへ秘書が血相を変えてやって来て、耳に一臣の来訪を告げると、金尾は一気に青褪め立ち上がった。 「なななな、何でこんな所に?!」 「分かりません!先生、どう致しましょうか?!警察を、」 「バカ者っ、それは駄目だ!!」 そんな事をすれば、ヤクザと密通している事がバレてしまう。 バレなくても世間へのイメージダウンは避けられないだろう。 そうなれば議員生命どころか人生が終わる。 「どうしましたっ?!」 佐々木が不安に顔を曇らせて金尾に声を掛けた時であった。 「おい、いつまで俺を待たせるつもりだ?」 一臣が不機嫌全開でそこへ立っていた。

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