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チビ共はふふふ、あははと笑顔で呑気なもんだな。 そう思いながら俺が何気に視線を別の方へと向けると、そこには…。 「…先輩達、また…」 ほのぼのというか、デレデレした表情の先輩達が居た。 バスケしてる時の先輩達がいいです、本当に。 「よし。それじゃぁ、基礎練いくぞ!!」 「はい!!」 次は基本的な練習。 今更何だけど、何事も基本が大事。 レギュラーはシュート練習。 準レギュラーも別のゴールを使って同じくシュート練習。 で、一年はドリブル練習を終えてからシュート練習に移るんだけど、ここでは既に差が出てきている。 ダムダムダムという規則正しい音に混ざって、可笑しな音が混ざる。 ダムダムッダムムッと可笑しなドリブル音の後に「あぁっ」と情けない声と共にバタバタと走る音。 俺が振り向くと案の定、月ヶ瀬がボールを追いかけていた。 追いついたかと思うと、足で蹴飛ばしてまた遠くまで追いかけていった。 どんくせぇな、相変わらず。 まぁ、そこが見ていて面白いし癒されるんだろうな…。 先輩達はシュート練習しながらもチラチラ見ては、ニコニコしている。 練習が楽しそうで何よりですよ、先輩方。と、二年の一部腐ってる男達よ…。 「仕方ねぇな~」 と部長の宇佐美先輩が言いながら近づいてきた。 あの、部長。 シュート練習抜けていいんですかね? 「月ヶ瀬。いつまでドリブルしてるつもりだ?」 そう言われて気がつけば、他のチビ連中は既にドリブルを終えて次のシュート練習へと移っていた。 「部長。す、すみませんっ」 指摘されて焦る月ヶ瀬に、部長が爽やかな笑顔を向ける。 「ドリブルやってみろ。俺がちょっと見てやるよ」 「あ、ありがとうございます!!」 その言葉に、月ヶ瀬が表情をパアッと明るくして部長を見上げた。 瞬間、部長の息が止まったのが分かった。

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