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ん~分かりやすい。 「ほら、腰を落として。こうだよ、こうして…」 というか、それ絶対下心ありますよね?部長…。 密着して手取り足取りしているのをゲンナリ見ていると、そこへ副部長が近づいていく。 「おい、宇佐美。お前は部長だろ。指示出せよ」 「俺は月ヶ瀬に、」 「俺が替わる。お前は部長」 「そういうお前も副部長」 「…っ?」 目の前で言い争い始めた二人に戸惑う月ヶ瀬。 「じゃぁ、俺が~」 と加藤が言ったと同時に、体育館に声が響く。 「お前ら、何してる?!弛《たる》んどるぞ!!」 「「!!!」」 体育館の入り口から顔を見せたのは、バスケ部の監督。 いや、今の監督は神様です! 結局、部長と副部長は監督から怒られて、その後は猛特訓となった。 とばっちりを受けて俺達もその日は、足腰が立たなくなる程に鍛えられた。 それから、数ヵ月後。 元々強豪だったこともあり、監督の特訓もあってか、俺達の高校は地区予選を無事に潜り抜けた。 皆で打ち上げだ!という部長の音頭で、俺達は繁華街にあるカラオケ店に来ていた。 これには部員全員と、応援に来ていた彼女や友人も参加して大盛り上がりとなった。 大人数だったので何部屋かに分かれる事になり、俺は月ヶ瀬が心配なのもあって、同じ部屋へと流れた。 月ヶ瀬は部長と副部長に挟まれて座っていた。 部長と副部長はそれぞれ隣に彼女を座らせていて、両手に花って感じだ。 歌は苦手なのか月ヶ瀬は絶対にマイクを握らず、ジュースを飲んだり、終始手拍子をしていた。 そうこうしていると、月ヶ瀬がスマホで時間を気にする様になった。

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