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月ヶ瀬にしては遅い時間になるんだろうな。
「お開きにするか」
「いえいえ、まだ楽しんで下さい!」
「じゃ、俺が送ろうか?」
部長と副部長の言葉に、月ヶ瀬が全力で頭を左右に振る。
「じゃぁ、俺が送りますよ!!」
渋谷。
お前、隣の彼女が睨んでるぞ。
「啓一~、私は?送ってくれないワケぇ?」
副部長の彼女も唇を尖らせて、腕を揺すっている。
月ヶ瀬だけ帰らせるのも心配だから、俺が送るかな…。
そう思ったのは俺だけじゃ無かったみたいだ。
何人かの男が少し口を開きかけた時だった。
「じゃぁ、俺も帰ります」
「なら、俺も帰ろうかなぁ」
一年チビチームが次々に声を上げ始めた。
これはチャンスだ!!
「そうだな!!一年のチビ共はもう帰れ!」
俺が言うと、真面目同級生も賛同してくれる。
「時間も遅いし、帰った方がいいかもな」
「はい、そうします」
月ヶ瀬が立ち上がる。
「よし、帰ろうぜ」
「「「お先に失礼しまーす」」」
こうして名残惜しそうにする部員に挨拶を済ませると、月ヶ瀬達は帰っていった。
あぁ、良かった…!!
月ヶ瀬の貞操の危機は回避できたから、これで気兼ねなくカラオケ楽しめる。
俺はさっそく曲を予約した。
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