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小一時間後。 カラオケで歌いまくった俺達は、地区予選突破の気分高揚も手伝って、大騒ぎで店を出る。 外はすっかり暗くなり、俺達とは違う大人が行き交っている。 まだまだここは明るく治安もいいが、ここからちょっと行った先は、あまり宜しくないと聞く。 俺達は無意識にそちらを避けて、反対側へと歩いて行った。 「あ~楽しかった!!」 「月ヶ瀬も最後まで残ればいいのになぁ~」 「今度は日曜の昼間とか誘えばいいんじゃね?」 と、男ども。 「ちょっと~さっきから月ヶ瀬、月ヶ瀬って」 「彼女置いといて酷いんじゃない?!」 「すっごいムカつくんですけどぉーッ!!」 彼女連中が「そーだ、そーだ」「ムカつく~」を連呼し始める。 それを見て俺は納得した。 あぁ、こんなゴリラは嫌だよな。 癒されたいんだよな…先輩達…分かりました。 うっすらと生ぬるい視線を送っていると、彼女持ちの男達は、げっそりとしていた。 俺、彼女は当分要りません。 作るなら月ヶ瀬みたいな素直でイイコを選びます。 出来たら小さくて可愛い子がいいです。 って、それも月ヶ瀬当てはまってるな…俺もヤバイかもな…。 「あ~あ~はいはい、もうめんどくセェな!!別れるか!」 「ムカつくーッ!!」 「痛てぇーっ、このバカ女!!!」 渋谷が心底めんどくさそうにわめき散らすと、彼女の怒りの爪がヤツの腕に炸裂した。 「あ~もうウルセェよ!!」 いい加減キレた副部長に彼女が怒りの平手打ち。 マジか…あ~痛そう。

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