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甘い時間の始まりと
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窓から入る太陽の明かりが室内を照らし、眩しいほどに輝いて見える。
そんな白い世界にポツンと存在する自分は、まるで異世界に居るかの様だ。
だけどここは異世界でも何でもなく現実で…。
そう。…これは現実なんだよね。
なんか不思議だ~…。
ベッドに座りぼんやりとしていた祐羽は、静かな落ち着いた色合いの寝室とカーテンから差し込む朝の光の狭間で意識を揺蕩わせていた。
体も心も今とても暖かい。
そんな祐羽の意識は、窓から微かに聞こえた音のした方へと向いた。
「!」
その見つめていた先、廊下へ続くドアから現れたのは人生で初めて出来た恋人で、昨夜愛を確かめ合った人だ。
長身に見合った長い足、腰の位置も驚くほどに高くまるでモデルの様にスタイルがいい。
実際に顔も整っており、この朝の光溢れる寝室へと入ってきた時は(やっぱりここは別の世界なんじゃ…)と考えてしまう程だ。
キリリとした眉に鋭くも静かな光を湛えた二重の瞳、筋の通った形の良い鼻に、唇…。
唇に視線をやった時、祐羽はキスを思い出し赤くなった頬を両手で隠した。
うわ~、思い出したらダメだーっ!!
ついその先のエッチな事まで思い出し、恥ずかしすぎてひとり悶絶する。
「待たせたな」
声を掛けられてハッとなり、漸くエッチな回想から解き放たれた。
頬は赤いままだが…。
そんな自分を見つめてくる恋人の手には大きめのトレイがあった。
「いいっ、いえっ!そんなことは…っ!」
たいして待ってはいないが、ベッドでのんびりしていた分の申し訳なさはある。
恐縮する祐羽の前にベッドトレイが置かれた。
乗せられているのはジュースの入ったグラスと数種類のサンドイッチが綺麗に並んだ色鮮やかな皿、そしてスープ。
美味しそう…。
思わずお腹が鳴りそうだ。
それからジュースの横にはブラックコーヒー。
食事や飲み物を運んで来た人物が横に座ると、体重の差が影響し、同時に僅かに沈んで祐羽の体が横へとほんの少しだけ傾いた。
「わっ」
「フッ」
ぶつかった瞬間に小さく笑われてドキッとして顔を上げた。
すぐ近くにある整った顔。
吸い込まれる様に、思わずその人の顔を見つめてしまう。
夢じゃないんだ。
九条さんと僕は…、
「どうした?見てないで食え」
隣に座った九条が祐羽に優しく微笑みながらそう言った。
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