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園芸部はさっそくこれからの季節に向けて、花壇作りに取り掛かった。 新しく土を一輪車で運び入れ、肥料を混ぜる。 今回は買ってきた花を植えて行くのだが、まずは一輪車を使って新しい土を運ぶのは重たいので男である祐羽が立候補した。 「じゃぁ、私と月ヶ瀬くんで行ってくるからレイアウト決めたりしてて」 「分かった。こっちはやっとくから、よろしく」 竹田は副部長の中谷へ声を掛けると祐羽を引き連れて、部室棟の横を通り奥の倉庫へ向かった。 部室の向こう側、校庭からは部活動に励む野球部やサッカー部の声が聴こえる。 そして横にある体育館からは、バスケ部だろうか?ドリブル音が…。 開け放たれたドアから中が見えるが、案の定バスケ部が各々ボールで練習を繰り返していた。 そういえば、篠崎くんはバスケ部だったな。 バスケかっこいいよね。 「月ヶ瀬くん、何してるの?こっちよ」 「あっ、はい!」 ぼんやりしていた祐羽は竹田に呼ばれ我に返ると、慌てて倉庫へと向かった。 竹田は倉庫から一輪車を2台取り出して、そこに土の入った袋を乗せて運ぶという。 「よいっしょ、っと」 「あっ、僕も…っ」 竹田の持ち上げようとする袋の反対側を持った祐羽はふたりで一輪車へ土を乗せる。 そうして準備完了すると、竹田が「もどるわよ」と先陣をきった。 それを追いかけようとした祐羽だったが…。 あ、あれ?!進まない…! 重いのだ。 土を乗せた一輪車は思いの外重く動かないばかりか、バランスを取るのも難しくて華奢な祐羽は数歩進んだ所で体育館の出入口付近の壁にぶつかりガシャンッとひっくり返してしまった。 「あぁっ!」 「月ヶ瀬くん?!」 随分と先に進んでいた竹田が驚いた様子で振り返っていた。

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