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そうして連れて行かれた先はリビングの座り心地バツグンのソファ。
殆ど動けない状態なので仕方ないとはいえ、王子様にでもなった気分で横にならせて貰ってしまった。
有り難いけれど、こんなに甘えて申し訳なくなる。
「すみません…」
そう謝れば、九条はその大きな手で祐羽の頭を優しく撫でてくれた。
大きく暖かい手の平が気持ちいい。
このままちょっと頭を預けていたい。
目を閉じて幸せを噛み締めた。
こんな風にゴロゴロしているのを眞山さんが見たら驚くだろうし、中瀬さんに怒られるかも?
ヤクザの組長さんなんだもんね、九条さん…。
組員が「俺達の組長に偉そうに何てことさせてるんだ!!」と怒り心頭の姿を思い浮かべて、思わず謝りたくなってしまった。
そんな祐羽の心の内など露知らずの九条は、キッチンへ向かうと冷蔵庫を開けてジュースを取り出した。
「飲むか?」
「あ、」
「桃だ」
何のジュースだろうと疑問を浮かべると同時に九条が教えてくれる。
桃は大好きなので、直ぐ様頷いた。
九条がさっそく桃のジュースをグラスへ注ぎ飲みやすい様にと、ストローを差して持たせようとしてくれる。
ソファに寝そべったままなので起きようとすると、九条が軽々と抱き起こしてくれた。
九条に比べると、体力と初心者で脆弱な自分では大きな差があることを知って貰える機会になったと思えばいいかもしれない。
「ありがとうございます」
祐羽は礼を述べると、グラスを受け取りストローに口をつけた。
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