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部下として長年側に仕えてきたが、こんなに私生活で生き生きとしている九条を見たことがない。
生き生きといっても見た目は変わらないが、予想外の行動を取ったり、楽しそうな雰囲気を感じる。
そんなボスの唯一の楽しみを潰すかと思うと、少し心苦しく思い再び頭を下げようとした。
「…申し訳ありません」
そんな眞山が頭を下げるのを九条が制した。
そんな九条は眞山から視線を外すと、椅子に背を預けるとビルの窓から外の景色へと目を向けた。
できたばかりの恋人の姿でも思い出しているのだろうか。
自分が知る限りにはなるが、九条には性欲を満たす為の女は居た様だが恋人という存在など居なかったと確信している。
運命と言えば簡単だろう。
そんな縁で出会った相手が九条には可愛くて仕方ないらしい。
傍目から見てもあからさまに溺愛している様に思える。
とはいえ、まだつきあい始めて1ヶ月半なのでお互い若干ぎこちない所もあるが…。
いや、もう1ヶ月も経つのか。
あの出会った時から怒濤の展開でここまで来たが、よく考えると本当に運命としか言えない。
この裏でも表の社会でも権力を持ち隙もなさそうな男が、高校生の…それも男を恋人にするなんて誰も思わなかっただろう。
女だけでなく、男の自分や部下達からも尊敬の念を抱かせるこの男。
顔も整っており、背も高く体格もいい。
声も良ければ妙なフェロモンでも出ているのか、男であってもその色気に油断が出来ない。
おまけに頭も良くて商才もある…と、普通なら自分のスペックと比べると嫌になり嫉妬にも繋がるものだが、眞山や部下からすると自慢にしかならない。
それだけのカリスマ性が九条にはあった。
そんなボスである九条は、やはり自分達の想像の範疇を越えている様だ。
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