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九条の背中を見つめつつ、眞山はぼんやりとボスの恋人である祐羽の顔を思い浮かべた。
「…」
ちょっと幼いし可愛いさを持った顔をしているかもしれないが、男だ。
そして特別な色気がある絶世の美少年というワケではない。
魔性の少年どころか、無垢そのものである。
どこが九条の心に刺さったのだろうか?
全くのノーマルであった筈の九条が、男を恋人にしたという事実。
同じくノーマルであるが凡人を自負する眞山には全く理解出来なかった。
正直最初は内心戸惑いもした。
自分がそうだったのだから、部下の驚嘆ぶりは尋常ではなかっただろう。
だが、九条のすることは全て正しいというスタンスから男の祐羽が恋人でも自分は気にはならなかった。
九条の秘書兼若頭をしている眞山がこうなので、部下は右ならえで従順だ。
九条が祐羽に飽きて捨てる日が来るまでは、全力で仕えていくと心の中で誓っている。
眞山としてはふたりが幸せに過ごし、それが九条の精神安定剤となり力を発揮して社会に君臨して貰うことが全てであった。
・・・・・
フロント企業である会社の業務を終えると、早速九条を乗せた車は組事務所へと向かった。
会社から組事務所へ向かう車の中でスマホを操る九条の姿をルームミラー越しに一瞬だけ確認する。
相手は月ヶ瀬くんか?
今まで無かった様子に眞山は九条の心が少し動いたのを感じた。
無表情は相変わらずだが、どこか雰囲気が柔らかいのを最近は僅かばかり掴み取れる様になった。
今夜の帰りが遅くなる事を伝えているのだろう。
一応、中瀬には連絡をしたが改めてやり取りしているのを見ると、ふたりの関係が少し進展したのが分かった。
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