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「羨ましい」
ジトッと祐羽が目を座らせる。
全く怖くないし、逆に尖らせた唇に視線が寄せられる。
いやいやいや。男が口尖らせるな!と思う心とは裏腹に…。
え。
これって…。
誰も居ない体育倉庫に月ヶ瀬とふたりきり。
しかも距離が近い。
このまま…出来るんじゃ…。
「月ヶ瀬…」
「篠崎くん?」
月ヶ瀬は男、月ヶ瀬は男、男でも可愛いからキスくらい余裕で出来る。
篠崎は一歩前に寄ると、祐羽の肩に手を乗せる。
そして顔を近づけていく。
祐羽は全く分かってないが、あまりにも篠崎の顔が近いので思わず仰け反った。
そこで見事にバランスを崩して、棚に後頭部と棚からはみ出ていた物に背中をぶつけてしまった。
「痛ぁ~」
「ご、ごめん月ヶ瀬!大丈夫か?!」
自分は一体何を考えていたのかと我に返って、篠崎は慌てて祐羽の腕を引いて起こしたが、祐羽の動きが鈍い。
「痛、…っ」
祐羽は背中に手を回して呻いた。
頭よりも背中の方が突き出ていた物で思い切り打ち付けたから痛かったに違いない。
篠崎は蒼白になる。
怪我?!俺のせいだ…!!
「月ヶ瀬、ごめん!俺のせいだ!!」
篠崎が謝ると祐羽は眉を八の字にして笑った。
「篠崎くんのせいじゃないから、気にしないで」
「怪我してないか?!」
「うん、大丈夫と思うけどちょっと痛い…」
そう言いながら祐羽が体操服の中に手を入れて背中を確かめた。
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