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「あぁ~アプリを信じて歩けば良かったぁ~。早く行ってくれないかなぁ…?」
すると直ぐに店から数名の男達が出てきた。
それから、一際背の高い男が姿を現した。
「えっ?!」
気のせい?
雰囲気もスーツの感じも違う。
けれど間違えるはずが無かった。
「嘘、ウソでしょ?!」
華林は自分の目を疑った。
その男はどう見ても恋い焦がれ続け、また先程諦めた王子様に見えたからだ。
「く、九条…社長?ウソぉ…」
普段来ることのない、この非現実的な街中で偶然でもタイミングよく会うなんて。
「やっぱり運命なんじゃ…」
華林は、夜の街に溶け込む危険な香りを漂わせる九条に視線も意識も完璧に持っていかれていた。
とはいえ、九条は九条でも明らかにヤバイ明らかに常人ではないオーラが駄々漏れになっている。
周囲の男達も直立不動で、九条が歩むのを黙って見ていた。
「え、えっ、もしかして…。嘘、本当に?」
動揺しまくり、ブツブツ独り言が溢れてしまう。
「九条社長…まさか…ヤクザ?」
呆然と見つめていると、ふと気づいた。
九条の片腕に何か抱えられている事に。
「…え?」
華林は目を凝らして、それが何なのかを確認する。
ヒラヒラのキャミソール姿に目を剥く。
「人間…。えっ?!女の子?」
最、悪、だ!!
と顔をしかめた華林は、次にはおや?と見直した。
ヒラヒラキャミソールの胸はペッタンコ。
おまけに捲れた裾からはボクサーパンツ。
こちらに顔を向けた形になったその人物の顔は、可愛いけれど、どう見ても…。
「男の子???」
混乱する華林を尻目に、九条と少年を乗せた高級車は静かに走り出し街の闇へと消えていった。
まるで夢を見ていたかの様に、華林は暫くぼんやりと見送っていた。
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