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行くぞ!と意気込んだ中瀬。
それはいいのだが…。
・・・・・
翌朝。
いざ九条の家へ上がる時には、恐ろしい程に緊張していた。
唾をゴクリと、何度飲んだろうか。
生きて帰れる気がしない程に、緊張の極限に立っていた。
絶対に粗相だけは回避しなければ…!
けれど緊張していた中瀬は、眞山に続いて入ったリビングで祐羽を見つけて内心ポカンとしてしまった。
呑気にパンを頬張っていたのだから。
え?
いや、まぁ…恋人同士なら変じゃないけど。
あの展開からどうしてこうなった?状態。
無理矢理な感じで連れ帰られたはずだ。
それなのに、呑気にパンを食べている。
食べ物に釣られた子どもの様だ。
おまけに、祐羽の様子がなんだか九条とイコールにならない。
いつも怜悧な雰囲気の九条だが、祐羽という存在のお陰か、急に空間が柔らかくなっている気がする。
とはいえ、自分は気を抜くわけにはいかないが…。
そうこうしているうちに、祐羽がいよいよ帰宅となった。
その前に自分には仕事がある。
買ってきた服を祐羽に与えるという使命が!
「買ってきたから、服。着替えたら家まで送る」
中瀬がコソッと耳打ちすると、祐羽が戸惑った顔を見せる。
「えっ、で、でもっ。これ、新し…」
「社長からだから。お前は気にしなくてもいいんだ。とにかく早く着替えろ」
祐羽が戸惑うので、先程よりまた声を潜めつつ言う。
とにかく早く着替えて貰いたい。
九条は時間のロスは好んでない。
それに俺の気持ちも考えてほしい。
注目されすぎて緊張がピークに達しそうだ。
「ほら、急げ」
「えっ、あ、…っ!」
こそこそしながら急かすと、祐羽は漸く立ち上がった。
「隣の部屋で着替えろ。荷物もそこだ」
「はい。分かりました」
九条の言葉に返事をしたのは中瀬だ。
今の祐羽には、九条の言葉に返事をする余裕もないらしい。
昨夜、体を繋げた後遺症だろうか。
痛みを最小限に留めようとしているのか、チマチマと移動を開始した。
男同士って、大変そうだな…。
中瀬は祐羽の動きに対して、エロい想像よりも受け入れたのであろう痛さを想像してブルリと震えた。
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