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「姐さん、逃げてください…!!」 「俺たちのことはいいんで!早く!!」 「そんな…っ、みんなを置いて逃げられないよ!!」 祐羽は構えた。 そうだ。思い出せ。 九条さんのあの動きを…相手を捩じ伏せる、あの動きを!! 「うわぁっ!!」 全く九条の動きは出来なかった。 あっという間に倒されて、それどころか屈辱の着物の裾割れまで披露してしまう始末。 これには周囲の山猫組員達もやんややんやで喜んだ。 男とはいえ人妻の痴態は、なんとエロティックなことか。 オマケに敵対する犬を倒したとなると興奮も一入だ。 そのままワッショイワッショイと猫村のところまで運ばれ献上される。 片腕に囚われた祐羽は「放せ~!」と暴れるが、まさに仔犬が甘噛みする程度しか相手にダメージを与えられない。 「よぉ~し!!お前ら~このまま中へ突入だ!!!」 祐羽をゲットした猫村は、威勢よく声を高らかに上げた。 「その間、俺は優雅にコイツの中に突入するかな~うへへへ」 「ううっ、嫌だっ、九条さーんっ!!」 下劣な笑みと下半身の卑猥な動きに背筋を凍らせて、祐羽は思わず名前を叫んだ。 その時だった。 「誰だ。俺の縄張りを犯したヤツは…」 地の底から這う様な声に、周囲は一瞬で冷えた。

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