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中瀬の開いた画面には色んなピザの画像が並び、とても美味しそうだ。 九条の帰りが遅い日はこうして二人で出前を頼む様にしている。 手料理とも思ったが、まず祐羽は全くの料理音痴だし、中瀬は簡単な物は作れても上司の家の台所を勝手に使うのは畏れ多い。 そして万が一、家事だ火傷だ怪我があってはダメだという過保護な理由から家での料理は九条が不在の時は禁止令が出されていた。 なので、こうしてピザのデリバリーを頼むというわけだ。 「じゃぁ…マルゲリータをお願いします」 画面に映る美味しそうな画像に迷ったが、シンプルでも美味しいマルゲリータを頼んだ。 「オッケ~。じゃ、他のサイドメニューも決めようぜ」 それから二人でサイドメニューを選んでいく。 「さっそく頼むな」 ピザ屋といっても普通にある大手のチェーン店とはわけが違う。 イタリアのナポリで行われる世界ピッツァ選手権で優勝を果たした職人が腕を奮う人気店で、本来ならデリバリーなど行っていないのだ。 ここは大きな九条というコネにより、特別扱いを受けてのことである。 ホームページの画面に載っているピザなどは、あくまでも来店する客へのメニューが紹介されているにすぎない。 他にも老舗や一流の店を当然の様にデリバリー出来ているのも九条の親心?からである。 美味しい物を食べさせてやりたい。 寂しい思いをさせる祐羽に、せめてもの恋人としての愛情だった。

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