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「ここに俺たちの旭狼会がある」 示された東京の位置にポツンと名前がある。 その周囲に篁組以外にもあるが、幾つかは敵対組織らしい。 「まぁ篁組が大きいし、旭狼会は少数精鋭でしかも会長強いから。今のところ組ごと大っぴらに逆らう所はないかな?時々、シマ争いでイザコザはあるけど…」 「島?」 「あ~、いわゆる陣地な」 「なるほど」 「じゃぁ、敵対してる大きい組織だけ教えるな?よく頭に入れとけよ、お前も会長の恋人なんだから」 「こ、恋人…」 人に改めて言われると照れてしまってしょうがない。 「な、何そのくらいのことで照れてんだよ?!こっちも恥ずかしくなるだろーが!!」 そう言う中瀬の顔も赤くなっている。 この程度なら平気そうなのに、中瀬も意外とシャイなのかもしれない。 中瀬さん、彼女とかいるのかな? カッコイイからいるんだろうな…いつか聞いてみたいな。 そんなことをぼんやり思っていたら、中瀬に頭を軽く小突かれた。 「痛っ」 「お前、話聞いてる?マジ大切なことだぞ!?」 祐羽がペコペコ頭を下げて謝ると、中瀬は許してくれた。 元からそんなに怒ってはいなかった様だ。 いけない、いけない。 人の話はしっかり聞かないと。 祐羽の意識が自分に向いたことを確認した中瀬は、説明の続きを始めた。

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