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「はぁっ…九条さ…っ」 九条は祐羽の言葉に応えることなく唇を乳首から放すと、下へと向かわせた。 「あ…っ」 「何だ?言ってみろ」 不満の声を無意識に漏らした祐羽に、そこで漸く九条が顔を上げて聞いてくれる。 そうは言っても、それを言うのは恥ずかしい。 「…い、…言えません」 「なら続ける」 「あっ!」 九条が再開しようとしたのを見て、祐羽は大きく反応してしまった。 視線は九条と、それから…。 「あ、あの…その…」 チラッと見たのは自分の乳首だった。 九条に少し弄られただけで、主張している。 折に触れてイタズラされてきた乳首は、祐羽本人が知らないうちに少し敏感になってきていた。 おまけに、九条に吸い付かれるとなんとも心地よく感じてしまう。 それが恥ずかしく、ましてやセックスの経験も少ない祐羽には『おねだり』して乳首を可愛がって貰うという事は無理だった。 だけど、もう少しだけ…。 物足りない。 指で弄られ期待して舌先であやされて、いよいよだと思ったのに。 顔を真っ赤にしても何も言えないが、視線を幾度となく乳首へと投げていれば言っているも同然だった。 祐羽自らが言うのを待っていたらしい九条も、我慢の限界に至ったらしい。 可愛い恋人が乱れる姿に満足以外ない。 「おい。念願の乳首可愛いがってやる」 「…ぁっ!!んっ、…んんっ!」 声を小さく上げて無意識に歓喜が胸に溢れた。 大きな舌で押し潰して舐め転がし、それからわざとらしく音を立てて吸い付かれる。 祐羽は顎を反らして鼻から甘い声を出した。 視界には九条の黒い髪が揺れている。 乳首が感じるのもそうだが、九条が夢中になって吸い付いている事実が余計に祐羽を感じさせていた。

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